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売買契約を締結するまで


さて、物件も気に入った、ローンの事前審査も通った、売主もこちらの条件を了承された、となると、いよいよ売買契約の締結となります。
ここで押さえておきたいポイントは、通常、売買契約書を交わした時点から、ローン解除を除いて、ペナルティなしの契約の解除ということができないということです。
もし他にいい物件が見つかったりとか、あてにしてたお金が都合つかなくなったりとか、急な都合で契約を取り消すなどの場合には、手付金を放棄するか、違約金を支払う必要がでてきます。また、仲介業者である不動産会社への手数料も払わなければなりません。
売買契約を交わした後に、他の物件が気になったり、不安な気持ちになったりとか、よかったんだろうかと悩まれたりする方はよくあります。
だからといって、心配ばかりしていても始まりません。
こういう場合、気持ちを切り替えて、「契約できてよかった」とお思いになることが肝心です。ひょっとしたら、他にもほしい方がいらっしゃって、タッチの差であなたが、買えたのかもしれないのです。
契約を交わした以上、思い悩まず、引っ越したらああしようこうしようと、未来のことに目を向けられてください。
同じことは売主側に対しても言えます。売主側も、他にもっといい条件の方が買いにこられたり、あるいは急な都合でやめますということになった場合は、あなたに手付金を倍にして返却したり、違約金を支払ったりする必要があるのです。どうしても欲しい物件だった場合、契約を急いで、売主さんの気持ちが変わらないようにしてしまうのもひとつの方法です。









次に、売買契約を交わす場合に重要なのが、重要事項説明書と売買契約書の中身です。その前に、まず、重要事項説明書とは、宅建業法35条に定められている書類で、宅地建物取引主任者が取引主任者票を提示して説明する義務があります。ちなみに売買契約書は37条書面ともいいます。
不動産は高額の取引ですし、なかなか一般の人では分りづらい面を持っています。専門の資格のある人が、きちんと説明するべきということでこういうシステムになっています。余談ですが、取引主任者の資格試験も、年々難しくなってきています。民法、業法、税法、法令上の制限などなど最近ではかなりの勉強時間を必要とします。不動産会社は、この取引主任者がいないと店舗や事務所を開けないようになっていますし、重要事項の説明は取引主任者でないとできない決まりになっています。売買に限らず、賃貸の契約の場合でも、契約前に取引主任者証を確認してください。





さて、いよいよ重要事項についてですが、説明は通常契約の前に行うことが多く、契約とワンセットとなっています。しかし、一度で理解するには分量があまりに多く、またその場で何度も聞き返すのも聞きづらい雰囲気でもあります。できれば事前にコピーをもらって読み、分らないことは契約前までに確認しておきましょう。
大体、重要事項で説明されていることは、物件の詳細と契約内容についてです。
添付書類として、登記事項証明書(登記簿謄本)、公図、建物図、地積図、都市計画図、道路図、建築確認通知書の写し、固定資産評価証明書、管理規約書、長期修繕計画書、修繕履歴、パンフレット、間取り図、価格表、などなどかなり大量な文書が付けられている場合があります。
説明が理解でき、納得したら重要事項説明書に署名捺印しましょう。

さて、最後に売買契約書についてです。重要事項と同じく、通常契約の前に内容について説明が行なわれ、納得の上で契約となります。しかし、初めて聞く言葉が出てきたりと、重要事項と同じく一度で理解するには難しい部分もあります。これも事前にコピーをもらって、分らないことは確認しておきましょう。
契約書の内容としては、売買の内容(物件の特定や価格、代金の支払い期日や方法、引渡しまでのルール)や、契約の解除方法、違約金の額、ローン特約の内容や解除の期限といったことです。
押さえておきたいポイントとしては、瑕疵担保責任についての内容や危険負担といったところです。
瑕疵とは目に見えない傷といった意味で、入居後ある程度しないと分らないものを言います。通常、瑕疵担保の範囲としては、主要な部分の木部の腐食、シロアリの害、給排水設備の故障(給湯器が壊れているといったことでなく、地中での水漏れなどがあたります)、雨漏りといったようなことです。売主が個人の方ですと、普通この瑕疵担保責任はないということになります。しかし、不動産会社など宅建業者である場合、最低2年以上の瑕疵担保責任の期間をもうけなければならないとされています。しかし新築住宅の場合、住まいの基本的な性能にかかわる部分は、施工会社にもよりますが、引渡しから10年間を瑕疵担保責任期間とする「住宅の品質確保と促進等に関する法律(品確法)」が優先されるため、瑕疵担保責任期間は、実質10年となります。
また、危険負担は、売主や買主のいずれにも落ち度のない地震や火災などの災害で、建物が壊れたり、消失した場合の処理方法について決めてある事柄です。民法上では危険負担は、買主の負担となっています。(民法534条第1項、特定物に関する物件の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において・・・)
つまり、建物の引渡しは受けられないにもかかわらず、代金は支払わなければならないとなってしまいます。これでは買主に対して負担が大きすぎるため、これを特約にて売主負担とする条文を入れてあることが普通とされています。危険負担を売主の負担とすることで、買主は建物の引渡しは受けられないものの、代金支払いはしなくてすむようになるのです。